2003年のベスト10・最終版

野々村 禎彦


(**) [Comic] くらもちふさこ『[α] アルファ』(上)・(下) (集英社ヤングユーコミックス)
(00) [Disk] Dafeldecker, Hautzinger, Tilbury, Sachiko M: absinth (GROB, 435)
(01) [Live] 10/19,24,25 リュック・フェラーリ再来日@Super Deluxe, 滝野川会館
(02) [Movie] 「聖なる映画作家、カール・ドライヤー」@渋谷・ユーロスペース
(03) [Live] 07/19 Alvin Lucier Peformance & Talk@川崎市民ミュージアム
(04) [Disk] 松平頼則:主題と変奏、右舞、左舞、典礼舞曲と終曲 (NAXOS)
(05) [Live] 08/02 鈴木貴彦ピアノリサイタル@青山音楽記念館(バロックザール)
(06) [Live] 03/15-17, 04/13 Michel Doneda & 斉藤徹 「春の旅2003」
(07) [Live] 12/12,13,15 Assif Tsahar & Tatsuya Nakatani 日本ツアー
(08) [Book+Disk] Improvised Music from Japan EXTRA 2003 (IMJ-302/3)
(09) [Shop] 築地仲卸「伏高」(海産乾物)
(10) [Live] 10/13 倉地久美夫ソロ&トリオ@吉祥寺・Star Pine's Cafe

(**) 忘れていたのはこれ。これも問題の6月よりも前に読んだわけだが、なかなか思い出せなかったのはそれだけが理由ではない。あまりに素晴らしいものは体験した瞬間から「古典」になってしまい、初めて出会ったのがいつだったのかは記憶から抜け落ちてしまうのだ。吉田秋生が『BANANA FISH』の次に『ラヴァーズ・キス』を描いたように、くらもちは『天然コケッコー』の次に本作を描いた。それまでの作家生活のすべてを注ぎ込んだ長編の反作用のような、細部まで作り込んだ中編。だが、吉田の『ラヴァーズ・キス』は、既成の物語を利用して精巧なミニアチュールを作る試みだったのに対し、それまでは既成の物語の中で視覚表現の実験を進めてきたくらもちは、本作でついにその実験の対象を物語の構造にまで広げ始めた。30年以上にわたって活動を続けながら、常に前向きに自己変革を進め、文学コンプレックスに陥ることもなく、マンガでなければ表現できない領域を開拓し続ける彼女をリスペクト!

(c) 2004 Yoshihiko NONOMURA
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