2005年のベスト10 |
野々村 禎彦 |
2004年は現代音楽が相当数ランクインしたが、今回はさっぱり。唯一ランクインしたのがシュトックハウゼン来日公演だが、これは勇気ある企画に敬意を表して。本サイトでは石塚さんがレビューする予定。これ以外では、サントリーホール国際作曲委嘱シリーズのシャリーノの新作《影の響き》、Frank Denyer: faint traces (mode, 151)、Iannis Xenakis: music for strings (mode, 152)、なども楽しめたが、昨年の2作ほどのインパクトはなく、他ジャンルの方が充実していた(むしろ、昨年が例外だろう)。
2000年にリリースされた、ふちがみとふなとカルテット《博学と無学》(吉田ハウス, YHL-003)にノックアウトされて以来、彼らの動向は常に気にかかり、ライヴにも時々足を運んでいた。ライヴはいつも「芸」として充実していたが、その後の洋楽カヴァーのみ/オリジナルのみのアルバムはやや地味で、千野秀一&大熊ワタルのサポートあればこそだったのだろうか、と思いかけていた。だが《ヒーのワルツ》は凄い。「なんでもあり」の選曲がポイントなのか、何か吹っ切れるものがあったのか。ファントークでは終わらせたくないので、カヴァー曲の解釈を足がかりに近々レビューする予定。
ONJOは結成以来、ライヴもアルバムも追ってきたが、「これは!」と思ったのはこのライヴが初めて。この日もそれ以前もレビューしています。これに対して、黒田トリオはいつも安定している。毎回新曲が加わり、かと思うと自由即興のみの日もあり、それでも期待を裏切らない。願わくば、「想定外のとんでもないこと」を一度見てみたい。何らかの形でレビューする予定。中谷&チェンデュオは、CD(レビューしています)は聴いていたがライヴはそれ以上。チェンの成長が特に印象に残った。インサイダーなのでレビューできないのが残念(2月のfrom between trio来日公演も)。
木村本はあくまでルポルタージュだが、足で集めた事実は重い。四方田犬彦『見ることの塩』も読んだことで、この本の凄さがよくわかった。昨年末に刊行された『オシムの言葉』が話題になったが、事態は現在も進行している。昨年のこうの同様、単行本を全部買う作家がひとり増えた。こうの作品は、『夕凪の街 桜の国』が《ノヴェンバー・ステップス》だとしたら、これは《アーク》だということで。本サイトでもレビューしました。2005年のIMJ誌はレビュー特集。メルツバウ21組をはじめ山のように書いたインサイダーなので、本誌の内容にコメントできる立場ではないが、和田ちひろ、足立智美、Diver、simをはじめ、付録CD2枚がとにかく素晴らしい。
リヒター展は、既に同じ場所で『Atlas』を見ているだけにこの程度の順位に。川村記念美術館の展示は、作品の魅力を最大限に引き出したジグマー・ポルケ展(上野の森美術館)と比べると、ただ並べただけのようにも思えたが、同時期に開催されたWako Works of Artの展示でそのあたりの不満は解消された。また、どちらの展覧会もカタログの充実は特筆したい。最後は、阪神ファンなら外せない「あの試合」。詳細はtoraoさんのblogをご覧下さい。なお、シュレッダーはクレジットカードと通販が消費生活で大きな役割を担っている者には欠かせないと実感。2mm*8mmクロスカットならば、紙片上の文字すら読めなくなる。